【大阪市】移動支援について

実は色々検索を書けても出てこないのが「移動支援」についての話題

まぁ利用者数も少なくニッチな話ですしね

今回は「大阪市の移動支援の継続性」について少し書いていきたいと思います


A:大阪市の移動支援の状況(2022年・2023年 各大阪市調査より)

①利用者数 5911人 (福祉サービス利用者数の16.7%)

 ※障害福祉サービス利用者数 35366人 (2019年比 132%)

 ※障害者訪問系サービス(ホームヘルパー)利用者数 19421人

②利用時間数 134.629時間/月 

③平均利用時間数 22.77時間 / 月

④単価  1900円/1時間 

⑤事業所数 1973事業所

⑥大阪市の1か月あたりの移動支援での支払額 2.55億円 → 30億円 / 年


全体の利用者が130%と増えているのに驚き

放課後等デイサービス事業が始まって以来「発達障がい」での児童・若年者が爆増しているイメージです

移動支援だけで年間30億の予算はなかなかヘヴィですね

ちなみに2016年に国で全国の移動支援に対する調査が行われました。全国平均での利用単価は身体介護ありで1900円/1時間。これが大阪市のベースなのかもしれませんね


B:大阪市のホームヘルパーの時給(AI Gemini調べ 求人ベース)

障害福祉

ホームヘルパー 時給 1500-1900円前後での求人(居宅・重度訪問など含む)

移動支援    時給 1200~1800円前後での求人

        ※平均で1500円ぐらい

実際に居宅介護と同じ時給での派遣をしている事業所もあり、専門性も含めて高い時給設定になっている事業所が多い感じです


C:継続性への疑問

①最低賃金の上昇

最低賃金を全国平均1500円を目指して、本年度も最低賃金が変更されることが決まりました。大阪は 1114円 から 1177円 で 63円の上昇

ここ5年間の最低賃金の推移は

2020年 964円 → 2025年 1177円 

となっており、5年で213円


②移動支援の単価推移

では移動支援の単価はどうか?

2020年 1880円 → 2025年 1900円

5年で20円しか上がっていません

さらにもう少し長い目で移動支援の単価の推移をみると

 2008年度まで1750円/1時間

 2009年度から1840円/1時間(自作資料より)

 2014年から1880円/1時間(大阪市要綱より推測)

 2021年から1900円/1時間

といった具合に17年間で150円しか上がっていないデフレの象徴的な制度

明らかに賃金上昇に追いつかない制度設計となっています。


移動支援に入るヘルパーさんは「資格の取得・保有」を含め、「福祉の専門職」です

しかも居宅ではなく、屋外でさまざまな危険への対応を考えれば他のどんなサービスよりも求められる資質は本来は高くないといけません

そういった専門性を無視した単価の設定と言えるでしょう


D:派遣はできないのか?

「1時間1900円で時給1500円なら400円は事業所に入るじゃん!?」

という疑問は単純に事務所で支払うのは時給だけじゃないという話


①社会保険料

1000円の賃金に対して社会保険料は凡そ150円(15%)かかります

時給1500円なら225円は社会保険料で必要です。(年金・健康保険・雇用保険等々)


②交通費

また途方のしきつの杜ではヘルパーさんが大阪府下・近隣県の広域的な生活地域からの派遣となっており、1現場当たりの交通費は平均710円(自宅↔利用者宅 往復)

これはほとんどの事業所ではもう少し安いかもしれませんが、0円ではないところが多いでしょう


③その他費用

事業所により違いはあるかと思いますが、

・「任意保険」「請求ソフト使用料」「各種書面の作成料」などの事業必需品

・専属スタッフの給与(案分)・通信費などの事務費用・事務所家賃等々

など様々に費用計算がされております(しきつの杜では各種費用を3%案分負担)


事業所としては移動支援はあくまで他の事業に対する「サービス」的な制度であり、それゆえ実際の現場では新規の派遣をできない事業所が多数となっています。


E:まとめ

専門性が必要となる外出支援

「社会参加」という障害福祉において非常に重要視されるべき支援であるのに、それを支える事業はあまりにも「ボランティア」的であるといえる

背景として少しでも重度な障害を持っている人に対しては「行動援護」や「重度訪問介護」など国の制度としての「障害者総合支援法」での支給決定をするようにしています

その結果「移動支援の利用者像」が「軽度障害」であり「問題行動が少ない」利用者であるという風になり、その専門性が「薄い」と思われています


このまま移動支援の単価と最低賃金の差が縮まり続ければ、事業の継続ができない事業所が増え、「絵に描いた餅」のように「利用できない制度」となっていきそうです。


せめて「派遣時間による加算」や「初回加算(最初の1時間だけ高い)」などの少しでも単価を上げれるような制度設計を早く行ってほしいものです


※移動支援は国の制度ではありますが、事業の実施は各市町村の事業となっております。

大阪府下においても大阪市とその他の市では制度・単価は大きく異なります


参考HP

全国移動支援調査(平成27年):https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000130375.pdf

大阪市障がい者調査(令和4年):https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/cmsfiles/contents/0000599/599183/050901.pdf

大阪市障がいサービス調査(令和5年)

https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/cmsfiles/contents/0000599/599183/050901.pdf

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